第15回日本早産学会学術集会

ご挨拶

第15回日本早産学会学術集会
大会長 田中 幹二
(弘前大学医学部附属病院 周産母子センター)

日本早産学会第15回学術集会会長を務めさせて頂く事となりました弘前大学の田中と申します。会期は2022年10月8日(土曜日)、会場は青森市駅前にある「ねぶたの家ワ・ラッセ」を予定しております。
さて、今回のメインテーマは、「頸管縫縮、tocolysis再考」といたしました。

最近、円錐切除術後に加え広汎性子宮頸部摘出術後の妊婦さんも増えてきています。こうした症例に対し妊娠後に頸管縫縮を行うのは困難で、腹腔鏡下や開腹といった特別な縫縮術を要とすることもあります。そこで今回は、子宮頸管縫縮術の適応から基本、さらにアドバンス症例への対応までそれぞれのspecialistにわかりやすく解説頂くことにしました。個人的にも演者の先生に手術をお願いした症例があり、私自身とても楽しみにしています。

そして、2番目のテーマはtocolysisです。皆さんの施設では切迫早産に対するtocolysisはどうされているでしょうか?β刺激薬による長期tocolysisが早産を減らすevidenceはないとの報告が出され、支持されるのはステロイド投与の時間稼ぎのみとの考えも広まっています。昔のような漫然とした持続点滴は論外としても、例えば頸管短縮著明でモニター上頻回の腹緊があるが数日延長できれば遠くの総合周産期センターへの搬送は避けられるかも、あるいは胎児に外科的疾患があって外科側都合でできるだけ妊娠期間を伸ばす必要がある、そんな時もtocolysisは許容されないのか…。数年前、ある学会の帰りのバスで室月先生に「先生はまさかウテメリン、使ってませんよね。うちは搬送でウテメリンつないできたらその場で点滴抜きます!」と言われ、一瞬ドキリとしながら「もちろんです」と答えた気の弱い私です。今回はその室月先生に早産学会の若き?エース米田先生と大井先生が挑みます。長期的なtocolysisはやっぱりダメなのか、許容されることもあるのかetc.徹底討論して頂きます。そして行司役は学会副理事長の松田義雄先生です。是非この討論に参加して侃侃諤諤の議論を楽しみませんか?

その他、青森県総合周産期センター新生児部長池田智文先生に超早産児の状況やその後の成育に関する問題、産科側やNICUスタッフに望むことなどについてご講演頂きます。 さらに学会副理事長の大槻先生には早産予防に対するプレコンセプションケアの重要性についてお話し頂きます。そして、大井先生にはもう一仕事、新たな早産に関連する用語の解説についてもお願いしています。
今回初めて?新生児科の先生やコメディカルスタッフにも参加を呼びかける予定です。早産に関わる全てのスタッフで早産について考えることで、我が国の早産を減少させ、予後の改善へと結びつけられればと考えています。早産の原因・病態などの基礎研究から各地の早産の実態、管理・治療法、合併症、新生児の問題など早産に関するあらゆる演題を募集いたします。
新型コロナウィルス感染症の蔓延により不透明な部分もありますが、できるかぎり現地開催として現地でなければ味わえない参加者間の活発な討論や圏域を超えた交流を目指したいと考えています。
会場ワ・ラッセで青森ねぶた祭を味わえる他、10月の青森は錦繍の八甲田連峰、酸ヶ湯温泉、蔦温泉&蔦沼、奥入瀬渓流・十和田湖、そして世界遺産に指定された三内丸山遺跡など国内有数の観光地も堪能できます。
全国から多くの皆様のご参加を心からお待ちしています。

2022年4月 吉日