会長挨拶

会頭

第8回日本循環器理学療法学会学術大会
大会長 高橋 哲也
順天堂大学 保健医療学部 教授


第8回日本循環器理学療法学会学術大会を「循環器理学療法のキセキ」をテーマとして開催させていただきます。
一般社団法人日本循環器理学療法学会は2021年4月に発足しました。公益社団法人日本理学療法士協会の機関として設置された「理学療法士学会(12分科学会と10部門)」をそれぞれ学会として「法人化」する際の約束は、「学会は理学療法科学を探求する」でした。その理学療法科学を探求するために旧学会運営審議会で合意した「JSPT VISION 2025」のなかでも、積極的に進めるべき2つの最重点項目は「理学療法評価の標準化」と「学会・部門が主体となった研究」の2つでした。日本循環器理学療法学会はその時の合意を忠実に守り、「循環器理学療法評価の標準化」と「学会が主体となった研究」を行ってきました。
2019年12月に「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が施行されました。循環器病対策の基本計画は、PDCAサイクルを回しながら見直されており、日本循環器理学療法学会が主体となって行ってきた研究「心不全理学療法全国レジストリ(J-PROOF)」の結果が、都道府県ごとの循循環器病対策に資するエビデンスとして使用されるよう、研究成果の発表を最優先にしたいと考えています。特に理学療法の効果については骨太に議論したいと思います。また、諸策の立案や診療報酬に資するデータベースの構築のために循環器理学療法の評価の標準化は必須で、究極的には教育の標準化に資するものになるため、当学会は循環器理学療法の評価の標準化を加速して行ってきました。質の高い循環器理学療法を全国津々浦々まで届けるようにすることは究極の学会の使命でもあり、今回の学術大会では学会をあげて取り組んできた循環器理学療法の評価の標準化に関連した「よくわかるセミナー」や「エキスパートセミナー」を多く企画します。その他、会員の皆様方のアンケートをもとに企画を構成し、ツイートセッションやアンサーパッドを用いた会場参加型のセッションなど新時代の取り組みを数多く企画していきたいと思います。
私は循環器疾患患者さんに対する理学療法を通して、多くの貴重な経験をし、患者さんから多くのことを学びました。循環器医療に関わっていると、とても重症な患者さんが回復する奇跡(キセキ)に遭遇することも少なくありません。循環器理学療法にまつわるドラマは私達の成長の糧でもあります。
心疾患理学療法料が登場し30年以上経過します。多くの理学療法士の努力によってマイナーだった心疾患の理学療法は様々な軌跡(キセキ)をたどって、リハビリテーション医療において重要な役割を果たすまでになりました。
そして、学術活動においても世界と渡り合う若手理学療法士が増え、将来の循環器理学療法学を担う輝石(キセキ)が多く育っています。
私は仙台の地で理学療法の教育を受け、卒後一貫して全身を診る循環器理学療法にこだわり、活動を続けてまいりました。多くのことを学び育てていただいた循環器理学療法学に恩返しをすべく、心新たに仙台の地で第8回日本循環器理学療法学会学術大会を開催すべく、多くの皆様方のご協力を得ながら準備を進めて参ります。
会期は2024年11月23日、24日の二日間、仙台の地で皆様にお会いできますことを心より楽しみにしております。